イギリスの学校を参観された先生の報告 (4)
1月末にいらしてくださった柏木先生のお話も今日で最後です。英語の指導についてのお話を前回まで紹介しました。今回は、1時間見学してくださった Year 2 の算数の授業です。
算数の指導については、私はイギリスの小学校へきて、かなり衝撃を受けました。
例えば、掛け算を例にすると、日本では2年生で9の段まで必ず覚えるように指導しますが、イギリスでは Year 6 の終わりまでに12の段まで(近年は10の段)を覚えればよく、「できること=到達度」の時期に幅をもたせているということです。
また、1年生で習ったものを2年生でまた行い、3年でも行い・・というように、とにかく繰り返しが多いこと。これは、3年生ではわからなかったけれど、4年生で理解できた、という子どももいるため、いいなぁ、と思います。(これはキーステージという段階や評価システムに関係してくるので、ここでは触れません。)
しかし、逆に言うと、内容は日本と比べるとあまり難しくないというか、なぜこの概念をここで教える?ということも。用語については低学年からしっかりと指導していきます。例えば、立体を指導するときは、日本では小学校1年生で触れるにしても、立体の名前は高学年で指導、それをイギリスでは Early Years, Year 1 で指導していきます。これについてはそれぞれ意見があると思います。
さて、私が特にいいな、と思うのは、いろいろな指導方法があるということです。例えば、こちらは
足し算:Year 1 (5-6 歳児)
足し算:Year 2 (6-7 歳児)
についてまとめたものです(2014年に指導要領の改訂が行われているのですが、この内容は2011年時点ですので用語が古いです) 。足し算でもこんなに考える方法があるのです。
たとえば、以下の hundred square というものを使って足し算を行ったり、山を使って足し算を行うところなど、繰上りがまだ理解できない児童にはいい方法です。
求め方は1つではない、いろいろな方法があっていい、というところは、真似したいところです。こうした考えが多様性を認めることにもつながっているような気がします。
柏木先生のブログの一番最後ですが、児童の到達度をとても重視しています。A3の大きな紙にかなり算数の足し算一つとっても評価項目が細かく記載されています。児童数30名でも、イギリスでは先生の負担もかなり大きいです。
以上、4回にわたって柏木先生のレポートを紹介させていただきました。私も先生のフィードバックから改めてイギリスの学校について、そして教育の在り方について考えるきっかけになりました。ありがとうございました。
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