ブレンディング:覚書
2017 年 8 月 2、3、4 日とリンクスさんで「児童生徒対象ジョリーフォニックス特別講座」を開催。私がジョリーフォニックスを使って、10 名の児童・生徒に文字と音の関係と読み書きを指導させていただいています。
参加してくれている子どもたちはディスレクシアや発達障害を持っています。とても素直でかわいい子たちばかり。ただ、読み書きに苦労しているのがわかります。今日はその中で、1 人の読み書き障害を持つ子どもへのブレンディング指導についての覚書。
初日は音と文字のテスト。ほとんどの子どもが、音と文字が一致していないことがわかりました。まずは音と文字が一致しなければ、読み書きはできません。
この日は s, a, t, i, p, n, ck の 7 つを導入。ブレンディングやセグメンティングも同時に行っています。今、私がここで取り上げている子は、文字と音の関係はジョリーフォニックスでつかめていくのを見ていても感じます。しかし、ブレンディングがどうもうまくいきません。母音+子音はなんとかできるものの、それ以上は難しい。
村上加代子先生に「文字がなくてもいいかも。音だけでブレンディングしてみたらどうかしら?」とご助言をいただいたので、どのように行くか考えてみました。どこで躓くのかを調べるために。
二日目の朝、レッスン前にその子に「耳からのブレンディング」をしてみました。方法は次のとおりです。
① T(先生:私):一音を言う
⇒ S(生徒):リピート
② T:母音+子音(an, at, ip, in など:非単語で O.K.)をゆっくり言う
⇒ S:リピートし、普通の速さで言う
③ T:子音+母音(sa, pi, na, ki など:非単語で O.K.)をゆっくり言う
⇒ S:リピートし、普通の速さで言う
④ T:子音+母音+子音(sat, pin, pas など:非単語で O.K.)を言う
⇒ S:リピートし、普通の速さで言う
①は問題なくできる。
②は普通の速さで言うところが最初はつかめなかったところ、お手本を別の大人に見せてもらい、何をするのかを理解。普通の速さで言える。
③も②同様。ここが少し難しかったが、ゆっくりとつながっていき、音と音がつながったことが何となく理解できたよう。
④はゆっくりと音を繰り返した時に、一度にくっつけようとして、うまくできず、戸惑う。ゆっくり言いながら、最初の二音をすぐに繰り返すように指示すると、ゆっくり自分で繰り返すことができ、(音を保持できたのか)三音がつながる。その後は、CVC単語の耳からのブレンディングができるようになっていった。
こうなったら、文字からのブレンディングもできていきます。初日は、読めない、書けないと言っていた子ですが、二日目は読めることが楽しく、自分で読む、そして、セグメンティングも何の音でできているのかが頭に残るようになったのか、ささっとカードを選ぶことができるようになりました。なんと gram なんていう単語まで聞いてカードでささっと 4 文字を選ぶことができました。
また、この子は書字障害もあるため、書くことに強い抵抗を示していましたが、今日は、突然、「書きたい!」という気持ちが爆発したかのように、とにかく、たくさん字を書いていました。一文字一文字に今までの思いを込めるかのように。書いたものをすべて取っておき、終わりに「先生、写真とってもいい?」と聞いてきたので、「これ、持って帰っていいよ。お家の人に見せたいね。」というと、大きくにっこり笑顔。カバンに丁寧にしまっていました。本当に丁寧に。ホワイトボードに書いた自分の文字が消えてしまわないように。
(私は子どもたちが字を書くときはいつも選択肢を与えるようにしています。
・指でなぞる
・クリアファイルの上からホワイトマーカーで文字をなぞる
・ホワイトボードに書く
・紙と鉛筆で書く
といったように。)
ブレンディングを行う際、文字が邪魔になってしまっている子もいるかもしれません。その場合は、文字はなく耳からで行ってみてください。
また、今日できたから明日もできる、とは言い切れません。明日の様子が楽しみでもあります。今回も子どもたちからたくさんのことを学んでいます。本当に彼らが私の一番の師です。あと一日で終了だなんて・・・寂しい。
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