「多読」勉強会
2025 年 12 月 21 日(日)に文教大学国際学部教授 千葉克裕先生(←クリックすると別タブで開きます)(趣味はジャグリング、特技はマインドマップ)をお招きして「多読」についての勉強会を開催しました。内容は以下の通りです。


●多読とは
●偶発的学習の重要性
●トレーニング効果から得られる脳活動について
偶発的学習と意図的学習についての違いから、多読はまさに前者であることを改めてうかがって、腑に落ちることが多々ありました。私はイギリスにいる日本人の子どもたちを多く指導してきていますが、子どもたちが自然と英語を口にしたことが「まさに本読みから」得ていることがよくあるのです。しかし、意味を明確に理解しているか、また、それを例えば主語を変えた場合の動詞はあっているか、というとそうではありません。それをきちんと指導する意図的学習を上手に組み合わせることで、子どもたちの「!」が増えることを再認識しました。
私が最近、脳についてもっと学びたいと思っていたので、今回は「脳活動」について触れていただきました。まさに千葉先生が研究されていることでしたので、詳しくお話を伺う中で、「体を動かすことで筋肉を使う」ように「読むことで脳が活性化している」ようすを伺うことができました。経験でそうだな、と感じてはいるものの、実際にデータとして目で確認することで納得できました。
もう一つ、千葉先生が偶発的学習の多読は「なだらかな坂を登る」ことにたとえられていて、日本で行われている指導は「ロッククライミング」のようなものということにも深く頷きました。「やればできる」根性論から抜け出さなくてはいけませんね。
参加者の方からの声
千葉先生が丁寧に説明して下さり、多読について深く知ることができました。多読をすると 4 技能すべてに良い影響があるが、まず最初に Listening 力が上がるという研究結果がとても印象に残りました。
具体的な数値が示されたことで、多読に挫折した経験のある自分でも「もう一度始めてみよう」と前向きな気持ちになれた。
偶発的学習と意図的学習は、どちらか一方が良いというものではなく、両方に意義があることが理解できた。自分が合った方法にこだわることが無いように子どもたちをよく見て試行錯誤していきたい。
多読によってリスニング力が向上するという点が印象に残り、これは自分自身や上の子の経験にも当てはまると感じた。
「多読」については全く知識がなく、「語彙が増える」「速く読めるようになる」「読みながら理解できるようになる」というイメージで、「長文読解に強くなれる」学習法なのだと思っていました。が、「リスニングにもスピーキングにも効果がある」というのは、かなり衝撃的でした。(教え子や保護者には言えないのですが)私は正直、読むことが好きではなく、読書はなかなかはかどらないのですが(なので「多読」という表記にも若干の拒否反応があったのですが)、今回千葉先生のお話を聞いて「まずは私がやってみたい」と思いました。また、子どもたちにも入りやすい絵本も探してみようと思います。あっという間の 1 時間半でした。ありがとうございました。
多読についてのお話は初めてでしたが、一つひとつが学びの多いお話でした。山下先生が普段話されていることと、千葉先生の今回のお話がつながって、メモをとりながら、脳内の血流が一気に増えていたように思います。特に印象に残った点は、以下の通りです。
①多読でリスニング力が上がるのは、黙読でも脳内で音声化しているから、ということ。
確かに!と思いました。そしてフォニックスの重要性を改めて感じました。 文字列を音にするにはフォニックスが必要で、音にできないと意味理解にもつながらないというお話は、山下先生がトレーニングの中で「読むこと」についてお話しされた内容につながりました。-中略ー②「語」の意味は何か、を教える側がしっかりしていないといけない、ということ。
「『本』というのはbookの意味ではなく、日本語の記号」「1対1対応の日本語の意味に当てはめていくと危険」「訳語ではない教え方を」という千葉先生の言葉に目から鱗が落ちました。そして以前、山下先生が、単語の意味だけでなくイメージを添えることの大切さをお話しされていたのを思い出しました。中学校の教科書に出てくるNew Wordをどうやって生徒の身近に感じるものにしていこうか、記憶に少しでも残るようにしようかと日々試行錯誤していましたが、大きなヒントをいただきました。③テキストに載っている1回しか出会わないような単語を覚えるよりも、高頻度の基本語彙を覚えることが大切、ということ。
中学3年生の教科書は、テーマも単語も生徒にとって難しいものが多く、英文を読みたい、そこに出てきた単語を知りたい、というモチベーションにつながりにくいです。教える側がNew Wordにとらわれすぎず、教科書本文を「基本語彙」という視点でもう一度とらえ直してみようと思いました。④ロッククライミングのような指導よりもハイキングのような指導を。
耳が痛かったです。これまで何人の生徒を崖の下に残してきたかと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。もっともっと色々な指導方を知り、自分の指導の幅を広げていきたいです。
まず初手から「多読」をそもそも誤解していたことがわかりました。自分がやって来たのも教えていたのもただのリーディング・読解であり、多読は「楽しみながら、すごく簡単なものを、自分の好みで、大量に読むこと」だと聞いて思っていたことと全然違っている!と思いました。
また、脳活動の研究結果で科学的データを示してのお話で、なぜリスニング力も向上するのかがつかめました。数字やデータは苦手ですが、千葉先生のデータはなるほど!につながりました。
専門的な知見や指導経験から学ぶことも多かったですが、その前提にある「学習者が選択することの意味や効果」や「言葉なのだから接触回数を増やし、効果ばかりを狙わずして効果が上がっていくために指導者として大切にすべきこと」を学んだ気がします。指導者の立場だと、どうしても結果に結びつけたいという欲や、一度指導したことは確かな力として定着してほしいという願いを押し付けがちです。でも、継続することを応援するための工夫をしたり、学習者が自分の力に自覚する瞬間を演出したりすることの方がむしろ指導者として必要なスキルであるようにも感じました。
そもそも自分の英語教育のゴールって何?生徒につけたい力は?それを伸ばすために何が必要?と、指導者が自分自身に矢印を向けることから始まるということを強く感じました。
そして何より千葉先生は、学生に教えていることを自分でもやっておられるところがすごい!そしてそもそも多読が好きなんだなあと思いました。自分がやってみることで、続けるにはどうしたらいいかやどうしたら楽しめるかなど、学習者としての目線で感じることも多いでしょう!千葉先生って素敵だな、と指導者としてとても魅力的な方だと思いました。
私がジョリーフォニックスをなぜ楽しんで指導できるかといえば、自分もトレーニングで楽しく学んだからなんだと振り返りました。指導者自身が学習者目線になれること、楽しめることであることって、指導する上で実はとても大事なのでは?と思いました。JPF の研修や勉強会では、もちろん専門性を高めたり指導スキルを磨くための企画ばかりで、そんな目的で参加しているのですが、そもそも指導者としての心得や姿勢など、もっと普遍的な部分をいつも学んで帰れる気がします。来年も、楽しみにしています!
クリスマス前のひと時、とても楽しく勉強になる時間をありがとうございました!Cheers! (記念写真を撮ったつもりが保存されていなかった・・・。ということでこちらの写真はその後の忘年会での写真です。)

こうした勉強会は山下が「知りたい!」ということや J Phonics Fan のメンバーのみなさまからのご要望を元に、必要に応じて外部から講師の先生をお招きしてお話をうかがってきました。2022 年から開始した勉強会も早いもので 24 回もの勉強会を行うことができました。これまでに外部の先生をお呼びして開催した回では、次のようなお話を伺いました。(↓リンクがあるものは、クリックすると該当のブログ記事ページが別タブで開きます)
【第 5 回】 UD フォントについて学ぼう 2022.11.6
講師:株式会社モリサワ 高田さん、野村さん
【第 6 回】 Handwriting 2022.12.18
講師:松井孝志先生
【第 8 回】 勉強会 諸木宏子先生(ヘレン先生)の教室の様子、教えて!2023.3.25
講師:A&A ENGLISH HOUSE 諸木宏子先生
【第 10 回】 舌のお話、発達障害のあるお子さんの英語指導と保護者対応について 2023.7.7
講師:英語学習サポート教室 Ridiam 代表 小幡理恵先生
【第 14 回】 ワーキングメモリと英語入門 – 多感覚を用いたシンセティック・フォニックスの提案 – 2024.3.30
講師:ノートルダム清心女子大学 人間生活学部児童学科 教授 湯澤美紀先生
【第 17 回】 音読メーター 2024.9.21
講師:こども英語・速読教室 Kids English 金谷尚美先生
【第 18 回】 子供の自尊感情を高める英語指導 – 観察と信頼関係の大切さ – 2024.12.1
講師:園元恭子先生
【第 20 回】 松井孝志先生 ハンドライティングセミナー 初級編 2025.3.22
講師:松井孝志先生
【第 22 回】 口で言えれば漢字は書ける!ミチムラ式漢字 … 2025.7.6
講師:道村静江先生
【第 23 回】「B.B.カード」… 2025.7.26
講師:難波悦子先生
【第 24 回】「多読」… 2025.12.21
講師:文教大学 国際学部国際理解学科 教授 千葉克裕先生
これ以外の回は、私が発達障害と英語教育、ブレンディング、年間計画、デコーダブルブックスなどなどを担当して開催した勉強会です。
学びたい人にはどんどん学んでほしいということで、基本的には無料で開催しているのですが、ときにはチャリティー勉強会と銘打って有料で開催したりもしています。それとは別に、講師料ほかの運営費のご寄付をくださる方もいらっしゃいます。(とても助かっています!ありがとうございます。)
学って楽しい!みんなで学ぶともっと楽しい!そしてそれが子どもたちに還元されていくのであれば最高です。
2025 年の勉強会はこれで終了。2026 年は 1 月に次回勉強会を開催します。そして、その 2026 年は豪華ゲストをお迎えして 10 回分の勉強会も開催することが決定しています!今から楽しみでなりません!みなさんも一緒に学んでいきましょう!
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