公立の小学校でのデコーダブルブック
先日、日本帰国中に某公立小学校へ行ってきました。
小学校 2 年生では音韻認識の授業、3 年生では ck の授業を担任の先生がされているのを見学しました。
2 年生の音韻認識の授業は f, th の違いを聞き取るものでした。f, th は日本語にはない音ですし、舌や唇の動きも難しいものです。担任の先生が単語を言い、子どもが繰り返す。先生が舌を噛みながら th, 唇を噛みながら f を見せれば、それをそのままマネする子どもたち。たった 10 分の授業で子どもたちは見事に聞き分け、発音していました。
3 年生の ck では、子どもたちは楽しみながらアクションをし、どこに ck の音があるか聞き取ります。今回のレッスンからは単語のどこに ck があるかを聞き取るものです。初めての取組に最初は戸惑いながらも、子音と母音を切り分けるんだ、ということに気づき始めたようです。
また、6 年生の授業として「デコーダブルブックス」。この授業は私がおこないました。
このうちの 1 冊、 Mud を使っての授業です。単語の確認、推測、文読み、読解、そして感想。これを 25 分で行いました。以下、気づいたこと。
●流暢性●
まず驚いたのは、子どもたちの読みの流暢さです。いきなり文を読むことはせず、単語から確認していきますが、(音素の数を表す)音ボタンがなくても 3 音単語はさっと読める。ただし、splash のような長い単語は時間がかかるので、一音ずつ確かめながら、単語を読む。次に単語だけを見せても splash と言えるようになる。そして、本文へ。
文章となるとまだたどたどしい読みですが、まずは子どもたちに読んでもらう。そして、私がモデル読みをし、子どもも再び読む。次にペアワーク。一人読み、と続けて行きます。全員がクラスで文を読むことにも抵抗なく、流暢に読んでいきました。
●推測●
表紙を見て、どんな話なのか推測。次に単語を読む時点で、こういう話かな、と再考。それをもとにしての本文読み。子どもたちは自分が推測したことと同じかな、あ、違うかな、とワクワクしながら次も読みたい、となっていきます。
この推測することを行うことで、子どもたちの読もうという気持ちを高めていきます。
●理解●
本は読んでおしまいではありません。短い話ですが、理解できているか必ず確認します。今回は、出来事が起きた順を確認するというものです。問題も英語で読み、それを本文で確認する。
何度も英単語に触れる機会が出るため、読みもぐんと速くなっていきます。話が理解できると、子どももうれしい。
授業を見学された先生方はもちろんですが、ジョリーフォニックスのトレーナーさんも今回、見学してくださり、公立の小学校でここまでできるようになるということに感動していました。「時間がない」という話を多くの現場の先生から聞きますが、この学校も公立の小学校。授業の時間数も同じ。3 年生からとにかくコツコツ続けてきた結果が、6 年生でこうして出てきています。
読みの力は一朝一夕では養えるものではありません。国語だって同じで、1 年生から少しずつコツコツと積み重ねて身につけていくものです。「国語と違って英語は単語を暗記すればいい」と思っている方も多くいますが、それができるのは一部の子どもたちだけで、その方法で良いと言っているのはその方法で身につけることに成功した大人だけ。多くの子どもたち(と英語の読みが苦手な大人)は「読み方」を学ぶ必要があります。それができれば、自分の力で新しい単語を読んでいくことができるようになります。とにかく、コツコツ、です。
子どもたちが自分で読めるようにしていこう、そう強く感じた学校訪問です。
*デコーダブルブックスについて興味のある方、2024 年 8 月に大阪と東京でワークショップを開催します。近日中に『イベントカレンダー』のページで公開します。しばらくお待ちくださいね。
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