2023 年 10 月学校訪問
2023 年 10 月、ジョリーフォニックスの指導、そして教員研修のため 3 市を回ってきました。今回は小学校の先生がジョリーフォニックスの授業もされたのですが、とても勉強になったので、市教委の許可を得て、ここで紹介します。
【先生の願い】
小学校 2 年生の授業。事前にいただいた学習指導案を読んでいると、「児童」という言葉がちりばめられていて、この先生の願いと想いが伝わってきました。
「児童が自分で文字を操作し、言葉をつくる力の基礎を育む」
「児童が自信をもって」
「児童の反応を認めながら」
「単語を書いてみたい児童」
「ハードルが低い活動」
・・・
教室に行き、先生が授業を始めると子どもたちはさっと前を向きます。ちゃんと聞く姿勢が育っています。
【復習】
文字を見せると子どもたちはアクションをしながら音を言います。先生は余分なことは言わず、でも、褒めながら。
【お話~アクション】
絵本を開くと「インキー、スネイク、ビー、謎の目探し」に夢中。そして、いい雰囲気のままお話に進み、スムーズにアクションへとつながっていきました。子どもたちは喜びながら卵をわる仕草をします。
【文字指導】
2 年生という年齢に合わせて、できるだけでいいよ、という声掛けがありました。子どもも自分のペースで書いていました。
【音の聞き取り】
指を立てながら音を視覚化。自信のない子ども(さっと見て 2 人音韻認識が弱いかなと思う児童がいました)にもこの視覚化の支援は有効でした。また、イラストの下にも音の数だけ●をつけていて(hen の下には●●●)その●をみながら音の確認もできます。
【ブレンディング(単語を一音ずつ音声化してくっつけて単語として読むこと)】
先生が黒板に書いた文字を見て、子どもたちはすぐに読みだしました 。文字=音声化(デコーディング)できているから、これができるわけです。先生と一緒に単語を読んでいる子どもたちを見て公立の小学校 2 年生の子どもたちがここまでやれるんだ!とワクワク。音をくっつける(操作する力)が育ちつつあるのが見て取れます。
唯一残念だったのが、全員で単語を読んだ後に、個に戻す時間があるとよかったかな、ということ。その時間があると、まだブレンディングができない子どものところへ行き、サポートできますからね。
【セグメンティング(聞いた単語を音素に分解すること)】
これが先生の工夫が生きていた場面になりました。2 年生にとって聞いた単語を「書く」ことは難しい。でも、聞いた単語をそれぞれの音に分解する力を育てたい。それでされた工夫がこちら。
子どもたちはさっとお道具箱から算数で使用するブロックを取り出します(これも普段から行っているから子どもたちは無駄なくブロックを取り出します)。先生が言う set という単語を s, e, t という 3 音に分けて、ブロックをこの表の上に置いていきます。「間違えたら置き換えればいいからね」と言う先生の言葉に安心して、取り組んでいる子どもたち。そして、その文字に〇をつける子ども。次に、pen を同じように行います。
「やりたい子はその単語書いていいよ」という先生の声もあり、やりたい子は〇をつけた文字を写していました。
「今日はやらない~」という子もいて、それぞれのレベルに合わせた温かい授業でした。
【歌】
歌を聞いて、その音だけ一緒に繰り返し、15 分の授業はおしまい。
「え~もう終わり?」「もっとやりたい~」と口々に言う子どもたち。わかる授業だったんだね。がんばったね。
いかがでしょうか。子どもたちの自分の力にあった授業であったことがよくわかります。上記の学習指導案をここで振り返ると、先生の願いが到達されていることがわかります。
こんな素敵な授業に日本の子どもたちがここまで「自分の力で読める(単語の暗記ではない)」できるようになるんだ!ということを実感しました。何よりも子どもたちの笑顔がいいんですよね。できる、わかる、というのはこういうことです。
F 先生は私が以前この市で行った教員研修で真剣に学び、その後実践を通し、こうして授業に臨んでくださったわけです。私が伝えたことをきちんと理解し、実践してくださるから、子どもたちに力がついていくことを私自身、感動しています。本当にありがとうございました。
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