第 2 回勉強会
今年の私は、「勉強会」でもお伝えしたように、みなさんに私が持っているものをどんどん伝えていき、かつ自分も新しく学べることを目的とした勉強会を 2 か月に 1 回は開くことを目標にしています。
第 1 回目は「自閉症スペクトラム(ASD)のある児童生徒への英語の指導」と題して 3 月に開催。今回第 2 回目は 4 月 23 日(土)に「デコーダブルブックスと読むことについて考える」というテーマで 1 時間半の勉強会を行いました。
まずは、「読む」ことについて(簡単ですが要点を)話しをしました。そもそも、「読む」ということには「文字を読むこと」と「理解すること」の 2 つが含まれているわけです。目の前にいる子どもが読みに躓くのはどちらでしょうか?この部分を混乱・混同してしまうと「この子は読めない!」と言っているだけで、「何が」できていないのかという部分がわからなくなってしまいます。
次に、デコーダブルブックスについてのお話し。日本では全くと言っていいくらい知名度はありませんが、イギリスの小学校は文字の読み書きを始めた初期の読み手はみな「デコーダブルブックス」を読みます。デコーダブルブックスとは decodable books=code を de することが able (ルー大柴みたい(笑))の本、つまり、暗号を解読して読める本=既習の綴りのきまりを使って読める本、を意味しています。
残念ながら日本の教科書や多くの絵本はこの「デコーダブルブックス」ではありません。いきなり、Hello! What is your name? とありますが、これ、name 以外は「不規則な読みをする単語」なんです。小学校で文字の音を習っても、それを使って読める文ではありません。とにかく、英語の初期に習う単語はこの「不規則な読みをする単語」ばかりなので、さぁ、中学校に入って、単語を暗記して読み書きしましょう、と言われても、それができず、英語が苦手になっていってしまう子どもたちが増えていくのは当然ですね。暗記が得意な子にはいいかもしれませんが、そうではない子は本当につらいですよね。10 回書いても覚えられないし・・・。
デコーダブルブックスはイギリスでは satipn の順に文字の音を指導していくので、この 6 つの文字と音を習えば、sit, sip, ant, pin, tip などの単語が自分で読み書きできるわけです。(そう、ひらがなで「つ、く、し」と習えば「くつ」「くし」「つくし」が読み書きできるのと同じです。)この「既習の文字と音」だけで作られた本がデコーダブルブックスなのです。
この勉強会では、参加者のみなさんとジョリーラーニング社から出ているデコーダブルブックスについて触れ、また、JL 社のホームページにもオーストラリア SPELD SA さんが無償でデコーダブルブックスを提供してくださっているので、そちらを見ていただきました。すごくありがたい無償の本!しかし、英語話者だから理解できるけれど、日本人には???ということも多々あることも事実です。そこで「日本の子どもたちにあったデコーダブルブックス」についてみなで考えていきました。
私が英語(だけではないけれど)を指導しているとき、いつも考えているのが、この子たちの 1 年後、2 年後、5 年後にはどんな力を付けていてほしいか、ということです。つまり、ただ単に読める本を与えて読めるようにするだけではなく、例えば、単数や複数、主語+動詞の順番など子どもたちが先々英語学習で躓くであろうところをあらかじめデコーダブルブックスに取り入れて、いざ文法を習う時には困らない力を少しずつつけていったらいかがでしょう?
参加してくださった方は 100%満足!とおっしゃってくださいました。一番多かった声は「自分で本を作ることは考えたことがなかった」ということ。目の前の子どもたちにどんな力を付けていってほしいのか。その想いを込めた自分だけのデコーダブルブックスを作ってみたら素敵ですよね。イラストは子どもに描いてもらうとかしたら子どもたちも喜ぶだろうなぁ。
次回の勉強会は何にしようかな?
*こちらの勉強会はジョリーフォニックス総合トレーニングを受講された方が参加できる J Phonics Fan という私が運営しているグループに登録している方が参加できます。一般には公開していません。
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