研修 (Speech, Language and Communication Needs) の覚書
*2020 年 6 月 17 日に加筆あり。
先日、Speech, Language and Communication Needs という研修に参加してきました。イギリスでは約 10%の子ども(140 万人)がSpeech, Language and Communication の問題を抱えているといわれています。そうした子どもたちをサポートしていくために、学校でどんなことができるか、ということを具体的に学びました。 とても勉強になる研修でしたので、まとめるためにも覚書として残しておきます。
まず、言語はとのように発達していくか、という段階をみます。5 段階に分かれていますが、一番下の「Attention & Listening」が最初に育ち、「Play」「Understanding」「Talking」を通して、「speech sounds」がその上に形成されます。
この speech sounds ですが、以下のように発達していきます。
年齢 | 発せられる音 | 出始める音 | メモ |
1 歳半~2 歳 | m n b d (t の場合もあり) |
f s |
単語のどこにでも使用される。s の場合は単語の最初ではなく、最後で出現 |
2 歳半~3 歳 | m n p b t d k g w y h |
f s |
長い音(s, f, v, sh, ch)はまだ発音できないため、feet は beet, seaside は deadide と発音する k, g という喉の奥で作られる音は、この年齢では口の前の方で作られる。car を tar, go を doe と発音する。 |
3 歳~4 歳 | m n p b t d k g f s w y h |
sh v z l ch j |
子音連結(sp, st, sk, bl, pl, tr, gr など)は難しく、一音で表現。例:spoon を poon, train を tain th, r はまだ難しく、thank you が fank you, red が wed になる |
4 歳~5 歳 | m n p b t d k g f v s z sh ch j w y h |
th r |
子音連結を発音できるようになる。 th, r は 6 歳(もしくはそれ以降)まで発達しないこともある。 r, l は単独よりも train, blue という単語の中で出現することのほうが早い場合もある。 |
(*2020 年 6 月 17 日加筆。こちらのサイトもわかりやすいです。
Speech Sounds Development Chart (https://childdevelopment.com.au/resources/child-development-charts/speech-sounds-developmental-chart/))
また、音韻認識についても触れられ、
・Rhyme(韻を踏む)の理解・・・3 歳
・Syallbles(音節)の理解・・・4 歳
・Blending(音と音とをくっつけて単語として発する)・・・5 歳
・Segmenting(単語を音素に分解)・・・6 歳
でできるようになる、という話です。イギリスでは、レセプション(4-5 歳)でシンセティック・フォニックスを指導しますが、この年齢では CVC 単語(子音+母音+子音の単語)のブレンディングとセグメンティングができることを目標としていますが、子どもの言語発達を考えたら、これを望むのは「早すぎる」ということです。
次に、子どもたちの語彙というのがどのように形成されていくのか、3 層のピラミッドについて学びました。
一番下の部分は通常であれば、家庭で子どもたちが知る言葉で、真ん中は授業を通して学ぶ単語、一番上は中でもより高度な単語になります。レセプション(4-5歳児)は今、Ugly Duckling(みにくいアヒルの子)について学んでいるので、それを例にしてみます。
・Core(ここは名詞)duck, egg, nest ・・・ 子どもたちがすでに知っている言語
・Describing(形容詞)ugly, sad, yellow ・・・ 授業を通して学ぶ抽象的な言葉
・Specialized(より高度な言葉)down(鳥の産毛), feather, hatch ・・・ +@として学ぶ単語
この年齢の子どもたちにはこうした単語を段階を追って習得していきます。そのために、指導者は授業で使う教材を読み込んで、単語をこのピラミッドに書き込んで、授業に臨む必要があるわけです。
そして、単語を習得させるためには、word map を使用するとよい、ということでした。これは、例えば、hatch という単語を例にしてみると、以下のような図を子どもたちと描いて、語彙を増やしたり、言葉に敏感になるようにしていきます。
右の青い線は hatch がもつ「意味」を紹介。
右の赤い線は hatch という単語の「音」に焦点を当てていく。
これはとてもいいアイデアだと思います。日本で国語や英語に使うことができますね。
英語の授業を英語を母語としない子どもや障害を持っている子どもたちも一緒に学び、かつ、すべての子どもたちが国語力を伸ばせるようにしていくには、授業計画がいかに大切か(自分の授業を振り返る)ということを再認識した研修でした。
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