トレーニングで出た質問

今回はトレーニングのフィードバックで出た質問について説明をしていきたいと思います。

Q. 中学生に指導(通級で)するときに、42 音と同時に教科書に出てくるひっかけ単語も同時進行してもいいのでしょうか?

A. 42 音を行いながらひっかけ単語を同時進行していくということは、生徒によって可能な場合とそうでない場合がありますので、一概に「いい」「いけない」とは言えません。その生徒がどれだけ英語のレディネスがあるか、という点でも違ってきますが、以下、一例を紹介します。

学年にもよりますが、まずは生徒に「英単語には ”ひっかけ単語” と言って、みんなをひっかけてやろうとする単語があって、これは変な読み方をするんだ。だから、今まで、綴りがわからないとか、うまく読めないと思っていた単語が、もしかしたらこの ”ひっかけ単語” かもしれないね。」と言って、いくつか紹介します(すでに中学生ですので、いくつかひっかけ単語も入っていると思いますので、そうしたものをピックアップして、まとめておいてあげるといいのかもしれません)。

そして、そのうえで、「でも、ひっかけ単語ではなく、ひらがなのように文字と音の関係がぴったりするものがあるから、それをまずは勉強していこう」と話をしてみてはいかがでしょうか。

例外的な単語は、規則がわからなければ何が例外なのかがわかりませんので、まずは 42 音を指導されていくことを私はお勧めします。

まずは 42 音の指導が必要ですが、中学生であれば、「ひっかけ単語」という存在を伝えてください。

Q. Pupil (Student) Book 1,2,3 は小学校 1 年生から始めたら 3 年生、2 年生から始めたら 4 年生でおわるのでしょうか?ついていけない子はどうしたら?

イギリスの授業では他にどんなことをしているの?

A.  小学校 1 年生で Pupil (Student) Book 1 を始めれば、3 年生で修了できるかと思います。ただ、私はみなさんに言いたいのが、「焦らないで」ということ。ついつい子どもが読めるようになっていくので、どんどん教えたくなっていきますが、中にはやはり読み書きに困難を見せる子も出てきます。また、単語が読めても理解しているとは限りません。

できるのであれば、

・1 グループ終了ごとに復習を入れる

・単語が読めるようになったら、チャンク(a red car, three big frogs など単語と単語をいくつかつなげたもの)が読めて理解できるようにしていく

・42 音が終了し、少しひっかけ単語を入れる(the, I, is, are, he, sheなど)

・チャンクや短い文を読み、理解できるようにする

という活動を長めに取ってから次のステップ(Pupil Book 2)に進んだほうがいいかと思います。特に、トレーニングでもわかったかと思いますが、同音異綴りはある程度「理解」して進めていかなければならない部分が多いので、英語の経験が少ない低学年には少しきついかと思います。

私の体験では、もちろん低学年でも英語に触れている時間が長い子や単語がある程度入っている子には Pupil Book 2 も可能ですが、そうでなければ、Pupil Book 2,3 は中学年~高学年で開始しても十分なのではと思います。

もしついていけない子がいても、復習の時間を多く取ってあげることで、数回目に「!」という気付きが出てくることもたくさんあります。そういう場合、すでに読みがある程度できている子にはチャレンジ的な単語を与えてもいいかと思います。一度行っておしまい、ではなく、何度も繰り返し復習されることをお勧めします。

もちろん、運営されている英語教室の方針によって違ってきますので、ご自身のカリキュラムに応じて調整していただければと思います。

イギリスの学校では、フォニックスの時間以外に、普通の「国語」の授業があります。文を書いたり、お話を作ったり、詩の勉強もします。おもしろいところで、「ドラマ」の授業もあります。また私のブログでも紹介しますので、ぜひのぞいてみてください。

同音異綴りの一つ。ある程度、理解力も必要になってくるので、中学年~高学年での指導がいいように感じます。

Q. 英語学習にはフォニックスは欠かせないが、サイトワード(ひっかけ単語)の問題はどうしても残ってしまう。native の子にも難しいと思うので、時間をかけて慣れてゆくしかないのか?

A. はい。その通りです。一気に詰め込んで覚えさせるよりも、「時間をかけて慣れていく」ということが大切だと思います。ただ、そのためには、普段からその単語に触れる機会をたくさん作る必要があります。子どもたちが直接読み書きするのではなく、先生の話しの中にサイトワードを意識して入れる(あまり意識しなくても、たくさんありますが)、絵本の読み聞かせを多く行う、習ったサイトワードを壁に貼っていくなどすることは必要でしょう。

私が勤務する学校の教室掲示です。常にひっかけ単語が掲示してあるので、子どもたちが安心して確認したり、写したりできます。

Q. クラス平均 6 人ですが、その中に一人だけ特別支援の子がいる場合はどうすればよいですか?自分だけ差別されてると感じさせないためには?他の生徒から「アイツだけ特別にヒントをもらってる」と感じさせないためには?

A. みなさん、この質問にどう答えますか?難しいですよね。一人だけ「特別」に扱うって・・・ひいきしているように思われたくない・・・。

私はクラスは間違える場所でもあるし、「わからない」と普通に言える場所でなければ、と思っています。また、普段のレッスンから、みなが「何かしら」の支援(ヘルプ)が必要で、それを必要と言えることも、それを受けることも当たり前、と感じられるようなクラスにしていけたらなぁと思っています。指導していると子ども間に差は出てきます。でも、それでいいし、それを認められるような環境を常に作っていきたいと思うのです。

また、子どもたちに「選ぶ」ことをさせるのもいいな、と思います。例えば、私は教室でノートの代わりにクリアファイルを使っていますが、その色をいろいろ用意しておいて、それも子どもたちに選んでもらっています。同じでなくていい。自分が欲しいものを欲しい、と言う。必要なものを必要と言える。そして、それをお互い認め合う。こんなちょっとした「自分の選択」が普通にあると、子どもたちの中で「ヘルプを必要とするのも当たり前」になってくるような気がします。