『学習障害と英語指導を考える』

前回の記事で、2014年の年末のジョリーフォニックストレーニング基礎編のまとめをしました。そこで、神戸山手短期大学の村上先生が参加してくださったことに触れましたが、村上先生がご自身のブログでジョリーフォニックストレーニングに参加された感想を書いてくださいました。
ジョリーフォニックストレーニングを受けてみて

右から2番目の方が村上先生

右から2番目の方が村上先生

もともとジョリーフォニックスは普通学級の中でどうしても文字と音の関係(フォニックス)を覚えられない子どもたちのためにスー・ロイド氏が考案されたフォニックスです。
一概に「フォニックス」と言っても
・アナリティック・フォニックス
・シンセティック・フォニックス
と大きく分かれており、前者の方法では「英単語や綴りをすでに子どもたちが知っていることが前提」になっているため、文字と音の関係を学ぶと言っても、その段階で「できない子」というのは、すでに「できる子」よりスタート地点で遅れているわけです。この「できない子」たちが「できる子」に追いつく可能性は限りなくゼロに近い。

そこで、「できない子」も同じように学べるように考えた方法がジョリーフォニックスなんです。ジョリーフォニックスはシンセティック・フォニックスの中の一つのメソッド。(シンセティック・フォニックスとアナリティック・フォニックスに関しては「シンセティック・フォニックス(2)二つのフォニックス」をご覧ください。

私自身、日本で普通学級と特殊学級(当時)を担任しました。その後、イギリスへ来て、インクルージョンが行われている普通の公立小学校で働くようになり、「個に合った教育」というものをより強く考えるようになりました。普通のクラスでもどうやって個に応じた指導をしていったらいいのか。
しかし、村上先生がブログでも触れられているように、日本ではまだその考えが浸透しているとは言い難いと私も思います。
村上先生が

「どの子にとっても良い」という指導は、「AじゃなくてB」というようなアプローチではなくて、
「Aも、Bも、Cも、Dも」というように、BやCやDという選択肢が同時に与えられていることではないかな?、と思っています。
・・略・・
ですが、一斉授業であれば、網を大きくすることが、より多くの子どもに合うわけで、その網の大きさは、いかに多くのアプローチを同時に使えるかではないでしょうか。

と述べられていますが、まさにこれなんです!
「一つのことを指導するのに何通りもの方法を紹介し、子どもはその中から自分に合ったものを選ぶ」ということ。これをジョリーフォニックスはいとも簡単に、無理のないように(どころか楽しく)してしまうのです。
これが個に応じた指導法で、まさに多感覚を使った指導法なのです。
どの子どもも楽しみながらフォニックスを習得していくことができます。そして、教える方も本当に楽しく教えていくことができるのです。

多感覚を使った一例:空書き 教える方も楽しんでいます!

多感覚を使った一例:空書き
教える方も楽しんでいます!

スー・ロイド氏やジョリーラーニング社がどこまで特別支援教育を考えてこのメソッドを考えたのかは、正直わかりません。しかし、特別支援教育・児童心理学に携わってきた私にとって、これは!」と思う部分がたくさんあり、その視点で分析したところ、本当によく考えられているのです。

多感覚を使った一例:パペット

多感覚を使った一例:パペット

次回のトレーニングは3月と4月です。興味のある方はぜひいらしてください。一日ではとてもではないけれど終わらないトレーニング。
まずは
・ジョリーフォニックストレーニング基礎編(次回から6.5時間に延長)
に参加され、その後
・ジョリーフォニックストレーニング実践編の前半(同音異綴りの教え方)または
・Jolly Phonics Extra 教え方その2(Pupil Book 2,3を使って同音異綴りを教える)
にご参加ください。合計10時間でようやくジョリーフォニックスのトレーニングが終了となります。

その後はジョリーフォニックスグラマーに移行していきます。グラマーと言いつつ、フォニックスもしっかりと指導していくのです!

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