Kipper’s Toybox を使った授業で思うこと

イギリスの学校には教科書がありません (詳しくはコチラから)。
英語の授業 (日本でいう国語の授業) も教科書がないので、市販の本を使って授業を進めていきます。今日、紹介する本は、私がサポートに行った Year 1 (5-6 歳) のクラスで今週、使われているものです。
Kipper’s Toybox (キッパーのおもちゃ箱)

Kipper's Toybox Kipper’s Toybox
(2000/02/21)
Mick Inkpen

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(ここでは内容は省略します)
実際の授業では、先生がこの本を読み聞かせします。そして、子どもたちはこの絵本を題材にして、図画工作の授業で絵を描いたり、英語の授業で文章を書いたりします。英語の授業でどんなことをするかと言うと、「はじめ・なか・おわり (beginning, middle, end) を考えてもう一度この話を書く」ということです。
その中で、今日、たまたま授業で行っていたのは・・・
「”はじめ” の部分を何通りかの表現で書いてみよう」
というものでした。
お話しの始まりは、たいてい
Once upon a time there was a ・・・. (むかしあるところに・・・がいました。)
One day, there was a ・・・. (ある日、・・・がいました。)
です。これを使って、いくつか文章のはじめの部分を紹介したいと思います。
Once upon a time there was a dog called Kipper.
 むかしあるところに、キッパーという犬がいました。
One day a dog called Kipper was counting his toys.
 ある日、キッパーと言う犬がおもちゃを数えていました。
One morning Kipper found out that there was a hole in his toy box!
 ある朝、キッパーは自分のおもちゃ箱に穴があいているのを見つけました!
One cold morning Kipper counted his toys to see if they were all there.
 ある寒い朝、キッパーはおもちゃが全部おもちゃ箱にあるか数えました。
これが 5―6歳児のレベルですね。Year 2 になると、day や morning を飾る言葉: describing words (または adjectives: 形容詞) を用い、Year 3 になると、動詞を飾る言葉 (副詞): adverbs を使うようにして、文章をよりよくしていくのです。
さて、こうした授業に参加していて感じることは、「学年が上がるにつれて、子どもたちの語彙力の差がどんどん開いていく」ことです。小さいころから本やたくさんのいい言葉に触れることの大切さを感じます。日本人の子に関して言えば、「日本語でこうした言葉を表現できない子は英語でも難しい」ということです。飾る言葉を一緒に考えていっても、本をよく読んでいたり読み聞かせをしている子どもは、どんどん形容詞が出てきます。そうすれば、日本語を英語に訳していけばいいので、英文も書けるようになっていくのです。普段からどれだけ日本語で語彙を増やしていくかということがとても大切ですので、イギリスにいる間、なるべく多くの日本語にも触れるような環境を作ってほしいと思います。そうしないと、日本語の語彙が増えず、結局は英語でも語彙が増えないということになってしまうのです。
そうそう・・・最近では、日本の昔話や世界の traditional story (3匹の子ブタ、3匹のヤギとガラガラドン、赤ずきんちゃん などなど) を知らない子どもも多く、「むかしむかしあるところに・・・」という昔話のフレーズを知らない子が増えて来ているんです!世界のお話は、イギリスの学校でもよく読まれるので、日本語でどんどん読んであげてほしいな~と感じます。

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