インクルージョン
日本ではまだ馴染みのない言葉 “inclusion:インクルージョン“。
“include:含める” という動詞の名詞となっている単語です。
インクルージョンを日本語に訳すことは難しいのですが「包括」と訳されていることが多いようです。では何を含めるのでしょうか。
障害があるなしに関わらず全ての子どもを含めた教育を意味しています。
日本では特別な支援が必要な子どもは、その子のレベルによって
・特別支援学校
・通常の学校にある特別支援教室
・通常の学校で行われている通級教室
で支援を受けることができます。
世界的にこの特別支援学校や特別支援教室は「インクルージョン」の理念にかなっていないということで廃止の動きにあるそうですが、イギリスでは
・Special Schools 特別支援学校
がまだあります。
通常の学校では教育を受けることが難しいと思われる重度の障害を持った子どもが通う特別支援学校や、自閉症を持つ子どもだけを受け入れる特別支援学校などがあります。(各地域の特別支援学校はこちらから検索できます⇒ Special Schools in UK 2012年10月現在)
しかし日本と大きく違うのは、日本のように通常の学校には一般的には特別支援教室がないことです。ただし、学校によっては
・Speech and Language Unit (スピーチ アンド ラングエッジ ユニット:言語教室) または
・SEN Department (スペシャル エデュケーショナル ニーズ デパートメント:特別支援教育部)
という教室を学校内に併設しており、特別な支援を必要とする子どもは、普段は通常のクラスに在籍していますが、英語や算数など特別な支援が必要な教科のときにこちらの教室に授業を受けに行くこともあります。
この教室には専属のスピーチセラピストが常駐しているところもあり、学業のみならずコミュニケーションの取り方や言葉の習得など、子どもによっては専門家の支援を受けることも可能です。
しかしながら、多くの学校ではこうした教室がないため、特別な支援を必要とする子どもには「一対一」のサポートがついて、通常のクラスの中でみんなと一緒に学習を進めていきます。子どもを教室から取りだして個別に指導するのではなく、教室内で他の子どもと同じ教育内容に沿って支援を行っていく・・・これがインクルージョンと呼ばれる制度になります。
この一対一のサポートに関しては、その子がどれだけのサポートが必要になるかで、1週間数時間のサポートであったり、フルタイムのサポートがついたりします。これに関してはまたの機会に説明します。
インクルージョン・・・実は、私の大学院での修士論文のテーマだったんです。日本とイギリスは特別支援学校がまだあるということで、共通した点は多いのですが、通常学校内での支援の仕方が全く違っていることに私自身、疑問を持ったことがきっかけで、1年かけてインクルージョンについて勉強しました。
しかしながら、勉強すればするほど、イギリスの学校自体、これってインクルージョン?と疑問に思うことも多々あります。
結局、インクルージョンということ自体イギリスでも30年以上もの間、物議を醸しているテーマだと私の指導教官も言っていました。難しい問題ですね。
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