教育講演会:自尊感情
「self-esteem (セルフエスティーム)」という言葉、今までに聞いたことはありますか?
日本語に訳すと自尊感情、自尊心、自負心などど訳されるそうです。私がこの言葉を知ったのは2年前の大学院で勉強していた時です。(詳しくは「続きを読む」をご覧ください。)
「自尊心」を英和辞書で調べると「プライド」とあります。プライドと言うと、あまりいいイメージではありません。しかし、英語ではプライドには誇りに思う、という意味もあります。
自尊・・・自分のことを尊ぶこと。つまり、自分のことを誇りに思い、好きになり、自分を大切に思える気持ち。それが自尊感情です。ところが、世界的に見て日本人はこの「自尊感情」がとても低いと言われています。
2009年、東京都が都内の小中高生を対象に行った調査では、
「自分のことが好きですか」という質問に対して、「どちらかというと思わない」「思わない」の合計は、6年生では 41%、中学2年生では 61% になりました。
また、「私にはいいところがありますか」という質問で、「どちらかというと思わない」「思わない」と回答した割合は、6年生では 30%、中学2年生では 43% になりました。(くわしい結果は「東京都教育委員会」。)
2007年にユニセフが行った調査によると、「孤独を感じるか」という質問に対して、日本の子どもは 29.8% の子が「そう思う」と答え、先進諸国の中では断トツで一位でした。ちなみに二位はアイスランドの 10.3%、三位はポーランドの8.4%。イギリスは 5.4% となっています。何と、二位の国の3倍も多くの子どもたちが孤独を感じているのです。
この結果をどう思われますか?
子どもは国の宝だとよく言います。なのに、この子どもたちが孤独を感じ、自分のことを好きになれないなんて寂しすぎます。
「こんなことができるのよ!」と自分を高めていく力、
「自分にはこんないいところがあるんだ」と自分を見つめる力、
「だから私は自分のことが好き!」と自分を受け止めていく力、
子どもたちにとって必要なのは「自分を肯定し、ありのままの自分を受け入れる」ことだと私は思っています。では、どうやったら子どもたちがそんな気持ちを持つことができるでしょうか。
まず、子どもの居場所を家の中に作ってあげること。自分が家族の一員であり、なくてはならない存在なんだと思う気持ちを養ってあげることが大切なことです。
そして、前回お話をしてきたように「褒める」こと。しまった!叱りすぎた!と思ったら、その日のうちに何でもいいから褒めて、気持ちよく一日を終えられるようにすること。
褒めることによって子ども自身、「受け入れられている」と感じ、家にいることが一番楽しいことであり、孤独を感じなくなるのでは、と思っています。そのためには、家族で過ごす時間も大切です。
また、これは私の大学院での課題のテーマでもありましたが、謙遜する文化でどうやって自尊感情を高めていくのかが大きな問題になります。
「愚妻」「愚息」という言葉があるように、自分の家族を謙遜して言ういい方もなるべく控えることも必要ではないかと思います。実際、親に「バカ。バカ。」言われ育って (実際には親も期待をしていたからなんですが)、大人になってからそれをひきずってしまい、仕事場での対人関係がうまくできなくなってしまった人や、自分の子どもにも同じように言ってしまい、不登校になってしまった事例もたくさんあります。
子どもが「自分のことが好き!」と思えたなら、他の人に対しても優しく接することができると思います。そうなれば、子どもの自殺などの悲しいニュースも減るのでは・・・と思っています。
私の願いは子どもが楽しく毎日を過ごすことができるようになること。
私自身、学校で働いているからこそ親ごさん、特にお母さんとの関係を築き上げながら、子どもたちが幸せに毎日を送ることができるようにやっていきたい。そんな願いをこめて今回の教育講演会でお話しさせていただきました。
長いお話しシリーズでしたが、読んでくださってありがとうございます。
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