「s をつける・つけない」から考えたこと
今日は私のつぶやきです。私のもう一つのブログ「まる」ないちにちと重複します。おまけに、今日のつぶやきは長いです。興味のない人は読み飛ばしてくださいね~。
今までに、私、イギリスで日本人を含め、いろんな子どもたちに英語や算数など、いろいろな教科を教えてきています。私自身、教えるときには「子どもたちが考えられるようになること」を心がけています。
日本人の子どもたちに英語を教えていると、日本人には難しい概念っていっぱいあって、どうしたら分かりやすく教えられるのか、試行錯誤の日々。自分自身、戸惑いながら、考えながら子どもの視線に立って教えているつもりですが、単数形と複数形の概念はややこしく、特に
「三人称単数の場合は、動詞に s をつけるけれど、複数の場合は s をつけない」
というところになると、子どもたちは「なんで~?」となります。一人称、二人称・・・と言う言葉は小さい子には使わずに (4 ~ 5 歳の子にはわかりませんからね・・・)、英語では一番大切なのが「自分」、次に大切なのが話をしている「相手」、そして、その外にいる人や物は三番目にくるのよ~と絵を描きながら説明していっています。
ある日、これを教えていたとき、ある子が私にこう言いました。
「 最初に s がないときは、次は s が要って、
最初に s があったら、次の s は要らないんだよ。」
何のことかわかりますか?
The dog runs fast.
Dogs runs fast.
1 つ目の文:最初のdog にs はついていませんが、次の動詞の run にs はついていますね。
2 つ目の文:最初のdogに s が付いていますが (複数)、次の動詞の run には s がついていません。
これ、某有名塾で教えてもらったそうで、実は、今までにそう言っていたの、この子一人じゃないんです。
違うお子さんは
「いつ動詞に s をつけるかわからないとき、OO塾の先生に訊いたら、最初に s があったら、次は s はつけなければいいと言ったんだよ。」
と、全く同じことを言うんです。
これ、どう思いますか?「なるほど!」と感心しますか?
私は、正直「え?」と目が点になりました。じゃ、s があるかないかだけで文章を読むってこと?それって「考えない」教育じゃない?と。
と言うのは、この子
The bus move slowly.
The children plays with me.
は正しい、と。 (正しくは The bus moves slowly.で、主語が三人称単数なので動詞に s がいり、次のplays の s は主語が複数形のためいりません。)
この子に、なぜ s がいるかいらないかを説明したら、
「な~んだ、そんな簡単なことだったんだ!」
だそうです。その某有名塾では説明してくれなかったから、ただ、主語に s があるかないかで区別していたとのこと。また、そこでは、考えずに覚えなさい、とのことだそうで・・・。
この三人称単数というのは日本人には難しい概念ですが、少しずつでも時間をかけてでも「なぜそうなるのか」を教えることって必要だと思うんですが、これ、今の日本では必要とされていないのかしら。
この某有名塾。実際、素晴らしい業績を残していますし、子どもにとってどんどん「できるように感じさせる」ことが上手だと思います。英語だけでなく、算数や国語なども教えているそうですが、算数など、”ちゃんと問題は理解できているけれど、計算が苦手だから、計算を速くできるようになりたい”と思っているのなら、計算をしまくるこの塾の方式は+になると思います。
でも、ただ計算ができるようになる、AならばBと答えればいい、というのは、その子の考える力を養うことになるのだろうか、と疑問を感じます。小さい子でも、実生活の中でどうして計算が必要なのか、いつ使えるのか、具体物などを用いて考えることも、子どもには大切だと、私は思うのです。
今回、何も、某有名塾の批判をするためにつぶやいたわけではありませんので、誤解しないでください。
実は、これ、長い間、「教師」という仕事をしてきて、よくぶち当たる壁なんです。今回のこの三人称単数の s に限らず、いろいろなことを子どもに機械的に「教え込むこと」って、どうなんだろうってこと。
教師として何をすべきか。
きれいごとかもしれないけど、「学ぶ楽しさ」を伝えていきたい・・・。でも、暗記すべきこともたくさんあるし、特に英語なんて、説明できないこともたくさんあるんですよね。イギリスの小学校で働いていると、子どもがスペルについて質問したときに、「こういうものなのよ~。だから覚えましょうね。」と先生も答えます (笑)。
高校生の数学を教えていると、この公式は覚えなくちゃ・・・と言っていいる自分がいるのも事実。
う~ん。難しいですね、教えることって。
私の長~いつぶやきにお付き合いくださり、ありがとうございました!
*ちなみに一人称・二人称・三人称という言葉、英語では
the first, second, third person と言います。
Year 6 (10-11歳) の英語の授業のサポートにいたとき、これをやっていました。イギリス人の子どもよりも、英語をadditional language (アディショナル ラングエッジ:母国語以外の言語) として勉強している子の方が、よくできていました (笑)。
Year 6 で思い出したので、今日の話題には関係ありませんが、下の画像をアップしました。
この写真はとある学校のYear 6 (10-11歳) の廊下の壁面です。おわかりですね。3月11日起きた東日本大震災について勉強し、津波の恐ろしさについて綴った作文が見られます。
イギリスでも、みんなが東日本の復興を願っています。
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