ジョリーフォニックスは読み書き困難をもつ日本の子どもに有効か:2016年夏(2)
前回からの続き。
次に、EDGEさんで主催してくださったディスレクシアをもつ児童生徒6名の様子です。
【対象】小学6年生~中学2年生のディスレクシアをもっている児童・生徒6名
【時間数】初日6時間、二日目4時間の合計10時間
【教材】ジョリーフォニックス Finger Phonics, Big Book, パペット, Jolly Songs, Jolly Strips, 私が作成した生徒用テキスト, ホワイトボード
【内容】最初の15分はアンケートとフォニックスとは何か、なぜ学ぶ必要があるのか・・・という説明。その後は1時間に約5音ずつ指導。合計10時間。
以下の単語リストは、参加してくれた中学1年生の生徒が、私が言った単語を書き取るディクテーションの結果です。
上が最初の1時間のレッスン後、下は8時間のレッスン後の書き取りです。この子は最後の感想で
「英単語を読むことができるようになって、とてもよかったです!今回をきに書けるといいです。」
と書いてくれました。たった二日でこれだけの感想が出るくらいなのですが、とにかく単語が書けるということがうれしかったらしく、ディクテーションした単語をすべて写真に撮って残していました。また、字の大きさにも注目してほしいのですが、だんだん自信がついてきたようで、しっかりとした文字が書けるようになっています。
このディクテーションですが、時には、ペアワークでは一人が単語を読み、一人が書き取る、ということも行ったのです。こんな風に。
たった4時間で、簡単な単語 (CVC, CCVC, CVCC, CCVCCなど) を読んだり書いたりすることがかなりできるようになりました。
最後に、中学一年生の生徒が書いてくれた感想です。
「とてもためになった。まわり(学校)の人においついたきぶんでうれしい。とってもうれしいと思った。」
この子の気持ちが痛いくらい伝わってきます。実は、この子は、初日のレッスンでは、少しぼ~っとしていることが多かったのです。こちらが指示を出しても、聞いていなかったり、周りを見て真似したりすることもありました。しかし、二日目は、私が言う前に、さっと何をするか自分から行動に移したり、つぶやきが多くなったりしてきました。10時間のレッスンが終わるころには、
「ぼく、読めるよ」
「最初来たとき、全然単語読めなかったし、書けなかったのに、今はこんなにできるよ」
とつぶやくまでになったのです!
実はこちらの生徒さん、ご両親も熱心に私のトレーニングに参加くださいまして、お子さんの様子をお知らせしてくださいました。
受講2日目の夜、息子は興奮して夜中の2時まで眠れませんでした。
「お母さん、YouTubeで観たんだけど、生まれつき耳の聞こえない人が居て、でも、科学の進歩で、聞こえるようにする機械が出来て、24歳で初めて音や声が聞こえたんだ。
ぼくね、今、そんな感じなんだよ!」
と言って感動しておりました。当日も、息子のアンケートを見せていただきましたが、その夜のその言葉で、今までそんなに辛かったのかという事と、本当に感動しているという事が実感出来ました。
漢字は、マジックで大きく書き、ストーリーを付けて覚える方法で覚えられる事がわかり、実践していたのですが、英語をどのようにして学ばせるか、模索中でしたので、息子に合った学び方を知る事が出来、大変感謝しております。
これは想像ですが、学校の英語の授業では何をしているかがわからず、その結果、やろうにもやれないという時間になっていたため、EDGEさんのレッスンでも最初はその「くせ」がついたままだったのでは?それが、英語が読める、書ける、何を言っているのかが聞き取れる、という「わかる」ことが、この子の持っていた力が目覚め、それが文字と音の関係がわかり、その結果自ら動けるようになったのではないかと感じました。
ジョリーフォニックスはディスレクシアをもつ日本の子どもたちに有効か
という表題でしたが、いかがでしたでしょうか。数値化されたものは出ていません。しかし、通常の英語の授業では「できない」と思っていた子どもたちが、これだけ気持ちでも大きく変化し、実際に読み書きできるようになっているという結果からも、私は、ジョリーフォニックスはディスレクシアをもつ日本の子どもたちに有効だと確信しています。
次回は、そんな子どもたちにどんなことに気を付けて指導していったらいいのかをお伝えしたいと思います。
*NPO EDGE さんでもこの様子をブログで紹介してくださいました。 NPOエッジ:盛夏 ジョリーフォニックス講座 でさらに熱くなる
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