神話:1年で英語はペラペラになる?

「イギリスの小学校に1年もいれば、子どもは英語ペラペラになるでしょう」

これ、全くの神話です。中には本当にペラペラになる子もいるようですが、こういう子はよっぽど英語のセンスがあるか、かなり一生懸命(時間をかけて)勉強しているか、のような気がします。イギリスの小学校で日本から来た子どもたちを7年間ずっとサポートしている私の体験からすると、1年でペラペラ話せるようになった子は今までにいません。

子どもの英語の習得を大まかに1年ごとに見ていくと、次のようになります。

・最初の1年でなんとなく先生や友達の言っていることが分かる

=授業中の先生からの指示が1文や耳慣れた言葉での文ならば理解できる程度。
話す方は単語、または2~3語程度の会話力(2歳児くらい)。
また、定型句から発展させて文を作ることもできる。その場合、文章はもう少し長くなる。

・2年目で授業中の指示が大体わかり、質問されたことに簡単な言葉で答えることができる

=文法は間違っていてもとりあえずコミュニケーションができる。でも説明となるとまだ難しい。
書く方は耳から入った言葉を使ってなんとか文章で表すことができるが、動詞の使い方がかなりおかしい。
また、関係代名詞などを用いての複文はまだ言えない。代名詞で代用することが多く、説明となると意味がなかなか通じない。

・3年になると友達とある程度支障なく遊ぶことができ、授業もサポートが少しあれば、何とかついていくことができる

=自分の思っていることを感情を交えて言えるようになり、英語での理解力もかなり高まっている。
文章も説明や物語を書くことができるようになってくる。
時制や関係代名詞などもだいぶ使えるようになってくる。

・4年もすると遊ぶときの言葉は日本語での表現よりも英語の方が楽になってくる、日本語に英語が多く混じるようになる

=クラスでも英語のサポートがほとんどいらなくなり、英語話者の子どもたちとほぼ対等に話ができるようになってくる。
兄弟同士英語での会話がみられるようになる。
そしてこのころになると、日本語の方があやしくなってくる。

これは私の体験から見た子どもの発達段階であり、必ずしもみんながみんなそうとは言えません。またイギリスへ引っ越してきた年齢によってもかなり差があります。でも「1年で英語がペラペラ」にはならないということは、ご理解いただけたでしょうか。

また、学校や英語環境に入れっぱなしで英語が伸びるか、というとそうでもありません。日本語で説明(単語を日本語に訳したり、is と am の違いを教えたり・・・)を適宜受けているお子さんの方が、全くのサポートがない子よりも伸びも早いような気がしています。

【カテゴリ:つぶやき】ナビゲーション

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