算数の学習内容
よく「算数はイギリスも日本もやること同じでしょ?」という質問を受けることがあります。
また「教えてあげたくても、イギリスの計算の仕方が日本のやり方と違うから、どうやって教えていいのかわからない」という声も、たくさんの方から伺っています。
そこで、イギリスの算数について、特に日本と大きく異なる点を中心にこれから少しずつ紹介していきたいと思います。
第 1 回目の今日は小学校での学習内容を簡単に比較してみたいと思います。
日本では以下の 4 つの内容を柱にして授業内容が細かく決められています。
数と計算・・・十進法や位、小数や分数、整数の性質、四則計算など
量と測定・・・長さや時間、面積など
図形・・・ものの位置関係、三角形・四角形などの図形の特徴など
数量関係・・・式に表すこと、計算のきまりを見つける、グラフなど
イギリスでは、
レセプションと Year1 から Year6 までの二グループに内容が分かれています。
(レセプションのみ)
counting and recognising numbers (数を数えることと数の認識)・・・20までの数を小さい順、大きい順に言うことができる、数字など
adding and subtracting (足し算と引き算)・・・簡単な足し算と引き算、それに関係する基本的な算数の言葉など
solving problems (問題解決)・・・グラフ、パターンなど
measures, shapes and space (測量、図形、空間)・・・長さや時間、重さ、立体など
(Year1 から)
numbers and number system (数字と数の仕組み)・・・十進法、小数、分数など
calculation (計算)・・・四則計算、暗算、電卓など
solving problems (問題解決)・・・お金の計算、グラフ、パターンなど
measures, shapes and space (測量、図形、空間)・・・長さや時間、方角、立体など
handling data (Year3から) (データ処理)・・・グラフ、表など
おおよそ学習内容は似ていると言えると思います。
ところが、式の立て方ひとつにしても、計算の仕方にしても、いろいろと違う点があるのです。
例えば、「かける数とかけられる数」が日本とイギリスでは逆になります。或いは、例えば、足し算の計算方法が日本とイギリスでは異なります。そういった細かな違いがあるため、日本から来た子どもたちは結構混乱する場合が多いのです。
また、Year2 でいきなり分数を勉強したり(日本では小学 4 年生)、Year 1 で立体を習ったり(日本では小学 6 年生) して、イギリスの方が進んでいる?かと思えば、九九の 3 の段や 7 の段は Year4 で覚え始め、Year6 が終わるまでに 10 の段まで覚えられればいいとか (日本では小学 2 年生)・・・。学習する時期が違ったりするんですよ。
(いつか日本へ帰国される方へ。ちょっとだけ注意してほしいな、と思うことがありますので、よかったら「続きを読む」をクリックしてください。)
「イギリスにいる間は特に日本の算数の勉強をさせなくても大丈夫ですよね!」と言われるお母さんも多いのですが、これ、大きな落とし穴があるのです。
子どもは「習わなければ知らないまま」なんです。どういうことかと言うと・・・。
イギリスのやり方で 8+5 の足し算はできます -指を使って数えていきます。-そうするように習うから。
日本のやり方で 8+5 の計算ができません。-繰り上がりの計算の仕方を知らないから。
イギリスのやり方しか習わなければ、日本のやり方は知らないまま過ぎていくのです。実際、イギリスの Year5 とか 6 でも指を使って足し算をしている子をよくみかけます。でも、日本では「指は使わないで計算するように」指導されます。
「うちの子は計算できるから大丈夫」と安心されるのはちょっと早いかもしれませんよ。もしかして指を使って足し算、引き算をしているかもしれませんから。特に日本の小学校 1、2 年生の時期をこちらで過ごしたお子さん。きちんと日本のやり方を教えてあげる機会を作ってあげなければ、いつまでたっても指を使って計算するイギリス式のまま過ごしていくことになってしまいます・・・。
お家の方にとってもお子さんにとっても、イギリスの勉強と日本の勉強の双方を両立させるのは大変なこととだとは思いますが、帰国することを頭に入れて算数のサポートをしてあげて欲しいなと感じます。帰国してから困ることのないように・・・。
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