白菜のキムチ

배추김치 2011.10.21 / その他

冬になって霜が降りる時期になると、いよいよ白菜の季節。白菜は一年中手に入るんだけど、葉が甘くて柔らかいのはやっぱり冬だと思う。そんな白菜の時期には、是非とも白菜のキムチを漬けてみよう。ちゃんとしたキムチを漬けるのは確かに手間なんだけど、その手間を掛けるだけの価値は十二分にある・・・と思ってます。市販のキムチやキムチの素では味わえない、複雑な味、そして重厚なうまみ。そのまま食べても加熱しても、その絶妙な味のバランスは崩れません。

じゃあ、いつものように、早速作ってみよう。


●材料 (作りやすい分量)

白菜



大 2 株



白菜の重さの 7%(5~10%)程度

– ヤンニョム(キムチの素)用 『主な素材』

大根



800g
ネギ



80g
ニラ



160g

– ヤンニョム(キムチの素)用 『辛味成分』

粗挽き唐辛子粉



80g
細挽き唐辛子粉



80g

– ヤンニョム(キムチの素)用 『香り成分』

しょうが(すりおろし)



80g
にんにく(すりおろし)



160g
たまねぎ(すりおろし)



100~120g

– ヤンニョム(キムチの素)用 『発酵うまみ成分』

あみの塩辛



120g

*いかの塩辛や乾燥小エビをお湯で戻したもので代用可
ただし、後者は味の複雑さが減ります

いわしエキス



160g

*ナンプラーで代用可

生ホタテ(貝柱)



3~4 個

*イカ、エビ、ホタテ、カキなどで代用したりもします

– ヤンニョム(キムチの素)用 『発酵に必要な糖分』

リンゴとナシ(すりおろし)



合わせて 200g
きび砂糖や上白糖



60g
もち米



60g

●作り方

Part 1:ヤンニョム(キムチの素)作り

1. もち米の下準備。

鍋に入れ、ひたひたよりやや多めの水を加えて火にかける。途中水分が減ってきたら随時水を足しながら、糊状のペーストになるまでコトコト煮ていく。

熱いうちにヘラなどで適当に潰した上で、冷ましておく。(冷めきらなくてもあまり問題ない。)

2. 大根の下準備。

大根は皮を剥き、2~3mm 程度の薄切りにした上で、厚さと同じくらいの幅の細切りにする。切った大根を大きなボウルや鍋などに入れ、2 種類の唐辛子粉を全量加えて、しっかりと混ぜて馴染ませる。

出来ればこの状態のまま 30 分~1 時間程度馴染ませておくのが望ましい。

3. 他の材料の下準備。

2 を馴染ませている間に、他の下準備をすべて済ませる。まず、「ヤンニョム(キムチの素)用 『主な素材』」の残りのねぎは薄めに斜め切りにし、にらは 5cm くらいの長さに切る。

次に、「ヤンニョム(キムチの素)用 『香り成分』」のしょうが・にんにく・たまねぎは、それぞれすりおろす。(にんにくはガーリックプレスで潰すほうが良いかも。楽だし、香りがうまいこと残ってくれると思う。)

そして、「ヤンニョム(キムチの素)用 『発酵に必要な糖分』」のリンゴとナシもすりおろす。

最後に、「ヤンニョム(キムチの素)用 『発酵うまみ成分』」として用意したホタテも細かく刻んでおく。

4. 混ぜ合わせる。

2 の大根がしんなりしたら、1 と 3 で準備した全ての素材と、あみの塩辛・いわしエキス・砂糖(つまり、ヤンニョム(キムチの素)用のすべての素材)を 2 の大根のボウルに加え入れ、しっかり混ぜる。

そのままラップをして、室温(室温が高い時期は冷暗所や冷蔵庫内)で一晩寝かせる。寝かせることで、味を馴染ませ、まろやかな風味にする。

このキムチの素っぽいソースをヤンニョムと呼ぶのだと、韓国人の友人から聞いた。

Part 2:白菜の下漬け(半日くらいかかる)

1. 白菜の塩振り。

白菜 2 つを、それぞれ縦に半分に割る。根元の方から少し包丁を入れ、ゆっくりと優しく引き裂くようにすると上手くいく。

この個別の重量を計り、それぞれの 7% 程度(少なくとも 5% 程度)の塩を用意する。外側から一枚ずつめくっては、少しずつ塩を振っていく。塩を手でこすりつけるようにしながら振っていくと塩加減が均等になって良いような気がする。根元に近い方の肉厚の部分には気持ちやや多めに塩を振るようにする。

塩を振り終わった白菜の切り口や外側にも忘れずに塩を振る。ここまでで全ての塩を使いきるように調整すること。もし余ったら、適当に葉の間や固そうな部分の外側などに振って、使い切る。

2. 並べる。

大きなバットや洗い桶などに、塩を振った白菜を並べる。この時点ではかさばるので、上下 2 段にしても良い。

3. 並べ直し。

下漬けから 2~3 時間経過すると、塩漬けの白菜からかなりの水分が出て、白菜自体がかなりしんなりするはず。こうなった段階で、白菜の上下を返すように並べ替える。

このときに、白菜から出た水分は捨てずに、その水分に浸すようにしておくと、白菜の味がボケなくて良い。このまま、合計 12 時間くらいまで(もっと長くても良い)漬けておく。

Part 3:白菜の塩抜き(3 時間くらいかかる)

1. 白菜の余分な塩を抜く。

シンクに水を張り、白菜を泳がせる。根元の部分を持って、何度か振るようにして洗う。白菜の味が抜けないように、こすらず、揉まず、押さず、絞らず。なるべく優しく扱う。その後、白菜を水から揚げ、ザルにとる。

水を換えて、合計 3 回ほど水洗い→ザルにとる工程を行う。

この時点で白菜の一部を千切って食べてみて、塩辛さを確認する。塩味がきつすぎてとても食べられる状態でなかったら、あと数回水洗い→ザルにとる工程を繰り返す。

2. 白菜の水切り。

塩味はきついが食べられる程度になったら、ザルの上に白菜を並べる。水分が切れやすくなるように、切れめを下にし、且つ根元の部分が高い位置にくるように並べる。このまま、自重のみで水気が切れるように 2~3 時間程度置いておく。決して絞ってはいけない。

Part 4:本漬け(仕上げ)

Part 1 で作って寝かせておいたヤンニョム(キムチの素)もう一度底から返すようにしっかりと混ぜておく。

白菜の葉を外側から 1 枚ずつめくり、そこにヤンニョム(キムチの素)を少しずつ塗っていく。味のバランスを考えて、根元に近い肉厚の部分に多めに塗るようにする。

元通りの 1/2 に切った白菜の形に戻ったら、一番外側の 2 枚の葉を使ってたすき掛けをするように(下の写真では、左手で持っている部分が白菜の根本のほう)、切り口の上を交差させて解けないように形成し、大きな密封容器に入れていく。

残りの白菜も同様に形成して、同じ容器に詰めていく。出来るだけ隙間無く詰めた方が、味の浸透と発酵の進み具合が均一になって良い。全て巻き終わった時点で、ヤンニョム(キムチの素)が 1/4 くらい残るのが望ましいが、適当で良い。残ったヤンニョム(キムチの素)を白菜の表面に乗せて完成。

空気に触れないように、ラップを落とし蓋のように表面を覆い、その上で容器に蓋をして冷暗所で漬け込む。時期や保存状態にもよるが、大体 1~2 週間から食べごろになる。


●ポイント

キムチは発酵食品です

市販のキムチの多くは、実は発酵食品ではなく、キムチ味の調味料で野菜を漬けただけの漬物です。

でも、本物のキムチは発酵食品で、発酵が進むことにより酸味が徐々に強くなって来ると同時に、熟成によってより深い味わいになっていきます。この熟成の度合いで味が変わってくるので、それも楽しんでみてください。

はじめは浅漬けっぽい味。しばらくするとキムチだけでごはんがおいしい!その後ちょっと酸味が出てきたら鍋物(キムチ鍋やキムチラーメンも!)や炒め物(豚キムチ、厚揚げとキムチの炒め物!)用の調味料のようにして使うと美味です。

ただし、異臭がしてきたら、それは発酵ではなく腐敗です。きっと雑菌が入って増殖してしまったのだと思います。においや味に異常を感じた場合には、食べないで破棄してください。あくまで自己責任でお願いします。

成分毎に、複数の素材を使う

このレシピでは、成分毎に以下の種類の素材を使っています。

– 辛味成分



2 種
– 香り成分



3 種
– 発酵うまみ成分



3 種
– 発酵に必要な糖分



3 種

同じ成分であっても、それぞれ複数の素材を使うことで味や風味が複雑になって、より深い味わいに仕上がります。使う種類を増やしたり、素材を好みのものに入れ替えたりして、より自分が満足できる味に仕上げてみてください。

また、発酵に必要な糖分も 3 種類使っていますが、これは果物類、砂糖類、米類から 1 つずつ選んでいます。徐々に発行が進む中で、まず果物に含まれる果糖やブドウ糖がエネルギーとして使われます。その間に砂糖の成分のショ糖が分解され、次に使われるエネルギーとなります。最後に米類に含まれるデンプンが分解され、長期的に使われるエネルギー源となります。これら 3 種類の糖分はいわばエネルギーの三段ロケット。しっかり 3 つの種類を使ってください。

食べる分だけ取り出します

食べるときは、食べる分だけ取り出して使います。キッチンバサミで切り出すとまな板も汚れませんので一番楽だと思います。取り出したら、洗わずにそのまま切っていただきます。

また、このキムチには変な素材が入っていないので、加熱しても味のバランスが崩れないのが特徴です。ドレッシング、鍋物のソース、焼きうどんの味付けにと、いろいろ工夫して使い切りましょう。