英語以上に、子どものときに習得すべき大切なこと
国際人としての・・・
世界で通用する人材の・・・
最近、よく目にするキャッチコピーです。
多くの人が、英語ができれば「国際人」としてやっていけると思っているような感じを受けます。確かに、英語ができれば、ほかの国の人とも話ができるし、仕事の選択肢も増えるでしょうし、世界が広がると思います。
でも、私は英語を習得する以上に、「国際人として」子どものときに習得すべき大切なことがあると思っています。それは、「感謝する気持ちを持つこと」と「人を尊重すること」。それを言葉で表すとしたら、どんな言葉になるのでしょう?
イギリスの小学校で勤務していて、イギリス人の子どもだけでなく、世界中の子どもたちと接している中で気が付いたのが、日本人の子どもの多くは
・Thank you.
・Please.
が言えないということ。
私のジョリーフォニックストレーニングでも時々お話させていただく話題なんですが、みなさん、「え?」と言われます。「英語教室でも一番最初に習う基本的な言葉でしょ?」と。はい。そうです。
もう少し付け加えると、子どもたちはちゃんと「Thank you=ありがとう」「Please=おねがいします。ください。」と日本語と英語の意味を言うことはできます。
では、なぜ Thank you. と Please. が言えないのでしょうか。
それは、普段、自分が話す日本語でも言わないからです。普段、母国語で言わない言葉が、外国語でとっさに出るということは、まずありません。「でも、私の英語教室では言えますよ」とおっしゃる方もいらっしゃいます。でも、それは「英語教室」という特別な場所で、そこで毎回同じシチュエーションで言えるから。だからと言って、そのまま現実の場で実際に言えるとは限りません。
なぜなら、言葉は「生きている」ものだから。
子どもたちは、自分が育つ環境で言葉を習得していきます。いろんなシチュエーションを見て、体験して、
・人に何かをもらったら「ありがとう」というんだな
・お茶がほしい時は「お茶をください」と言えばいいんだな
と学んでいきます。それを、普段から、何かをしてもらっても、ありがとう、と言わないで育っていれば、言わないでいいということを学びます。飲み物がほしい時に、「喉乾いた」と伝えるだけで飲み物が出てきたら、「飲み物をください」と言わなくてもいいことを学びます。
大げさな・・・と思われるかもしれませんが、本当です。また、逆にきちんと日本語で「ありがとう」「お願いします」、そして挨拶ができる子どもは、たどたどしい英語でもちゃんとその言葉を伝えられます。
実は、この大切な二つの言葉、大人も使えない人が多いと感じます。レストランやお店で、
・Thank you.
・Please.
が言えない日本人、たくさんいます。英語を流暢に話している人でも・・・です。そんな人たちを見ていて、英語ができても、それを国際人というのかしら?と感じるようになりました。イギリスの小学校では私たちスタッフは徹底して子どもたちに、この言葉を言わせるくらい、基本的な、そして世界で一番大切な言葉だと思います。素敵な言葉ですよね、Thank you ・・・「あなたに感謝します」って。
私は、子どもたちに指導するよりも、まずは自分から、「ありがとう」「お願いします」って言ってみることが大切だと思っています。コンビニで何かを買う時も「お願いします」「ありがとう」の一言を付けてみませんか?ありがとうって言われて嫌な顔をする人はいません。それどころか、その人の心を温かくします。自分の心も温かくなります。そんな姿を子どもたちも見ています。そして、真似するようになります。
言葉は環境の中で育つ。
言葉は生きている。
もちろん、私も子どもたちや周りの人たちにきちんと言葉で伝えていく努力をしていきたいと思っています。言葉も心も育てたい。
(「相手を尊重して話す」ということ、というトピックを 2014 年 10 月にも書いていました。よろしければご覧ください。)
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