私がイギリスの学校で働くまで

気が付くと渡英して14年。今勤務している学校で働き始めて8年になります。
最初、私が得た仕事は pre-school (プリスクール:保育所) のアシスタント。最初は週3日ほどボランティアをさせてもらい、気が付いたら働いていました。ちなみに英語は全くできませんでした。TOEICで540点ほどだったかな。
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プリスクールでは、一応、”保育士の資格を取ってほしい” といわれ、保育士のコースに少しだけ通いました (こうした資格はプリスクール・学校・会社などで負担してくれることが多い)。
が。1年半ほど経った頃、普段は見ない新聞の求人欄で「Language Assistant (ラングエッジアシスタント) 募集。自分の言語を使って学校で働きませんか?」という募集を見つけ、これだ!と思い、すぐに申し込みました。求人先は EMASS (Ethnic Minority Achievement Support Service: 少数民族サポートサービス)。
一次審査 (CV=履歴書) は通り、二次審査に呼ばれました。英語のテストと面接。今思い出しても赤面するほど恥ずかしい面接でした (苦笑)。質問に field という言葉が出てきたのですが、すっかり「分野」と頭の中で訳していたので (学校の運動場のことなんです)、とんでもない答えをしていたり、学校のシステムがわからないため、とんちんかんな答えをしたり。なのに、受かったんですよ。
あとあと面接官に聞いたら「とにかく日本人が欲しかったから、CVを見た時はみんなで大喜び。もう絶対、採用するつもりだったのよ。でもね、あの面接の英語はひどくて、どうしようかと (採用しようかどうしようか) 悩んだのよ。でも、英語のテストはよかったし、何より教員の資格があるところが大きかったね。」とのこと。
やっぱり (苦笑)。
そう。英語ができなくても受かってしまうんです。資格があるというのは大きいな、と実感しました。
EMASS では自分がベースとする学校を一校決め、そこで週に15時間ほど働き、空いた時間で日本人の子どもがいる学校に赴き、その子たちのサポートをしていました。そのうち、親御さんと学校、教育心理士と親と学校間の通訳まで頼まれるようになりました。英語ができなかったのに、大きな進歩です (苦笑)。
その EMASS を4年前に辞め、ベースにしていた学校に “直接雇ってください”と嘆願し、今は Language Assistant (ラングエッジアシスタント)と Speical Support staff (特別な支援が必要な子へのスタッフ) として働いています。
私自身、教師として働きたいと思っていたのですが、日本の教員資格があっても簡単には仕事を得られません。まず、EU外の国の教員資格は、この国では効力を持たないのです。この国で教師として働くためには、ゼロから教員資格を取るか、またはフルタイムで学級担任として勤務しながら4年以内にテストを受けて合格するか、のどちらか。でも、一体、どこの学校が日本人をフルタイムの教員として雇うのか・・・。少なくとも私が住んでいる地域では皆無でした。
大学でもう一度教員資格を取る方法は自分の住んでいるところでは無理なので却下。
なので、今も私はアシスタントという仕事をしているわけです。学校では親に紹介する時には Teacher ということもありますが、本当のタイトルはアシスタント。ただ、これが私には合っていると実感。特別な支援が必要な子どもに一対一で向き合え、親へのサポートも行える・・・。私がやりたかったことなので、今はすごく満足。
以上、私が今の仕事を得るまで・・・です。

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さて、私たち日本人がイギリスの学校で働くには、Teaching Assistant (ティーチングアシスタント:略してTA) が一番アプライしやすいかと思います。では、どんな資格が必要かと言うと、イギリスらしく、各地方によって違うのです!また学校によってもどのレベルの TA が欲しいかも違います。Level 2, Level 3の Teaching Assistant という資格を持っていることが必須、という学校もあれば、未経験でもO.K.という学校もあります。
しかし、最低、これは持っているといい、というものとして、
GCSE (義務教育の最後に受ける全国テスト)で英語と数学で、レベルC以上
-同じくGCSE で理科も選択していること
-学校で働いた経験があること (ボランティアでO.K.)

が挙げられます。
多くの TA は、最初、自分の子どもがいる学校にボランティアでお手伝いにきていて興味を持ち、半年で Level 2 の資格、その後1年かけてLevel 3 の資格を取っているようです。また、セカンダリー終了後、カレッジで、幼児教育などのコースで資格を取得する人も増えています。
しかし、日本から来た私たち日本人の前に立つ壁が GCSE です。カレッジに行くにも GCSE が必要になるからです。
私たち日本人の場合、GCSE で英語・数学・理科を持っている人なんてほとんどいないと思いますが、諦めないで!
私は GCSE の English は 6年前に 地元のアダルト・エデュケーション (成人学級) で1年勉強してテストを受けて取得しました。GCSE の英語は取っておいて損はありません。ケンブリッジの英語やTOEIC などは、小さな田舎町では何の意味も持たないことを実体験し、GCSE を取ったのですが、これが正解。大学院に進む時も、英語話者ではないけれど、GCSE English の証明書があったので、簡単にパスしました。
また、数学と理科に関しては、日本の高校から成績証明書を取得し、それをイギリスの資格に換算してくれる UK NARIC というところに送付しました。数学と理科を GCSE レベルで勉強したということの証明書を発行してくれます。
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この資格があれば、イギリスの学校だけでなく会社で働こうと思う時も、ほぼ O.K. です。イギリスで仕事を・・・と思っている人がいれば、ケンブリッジ英語試験やTOEIC ではなく、GCSE を取得されることをお勧めします。
ちなみに今の私の英語のレベルは・・・わかりません。でも、正直うまくはありませんし、語彙数も多くないし、文法もわからないことがたくさん。それでも働いています。やはり資格があるということが一番だと思いますが、スタッフや親との信頼関係を築き上げてきていることも大きいかな、と思っています。

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