シンセティック・フォニックス (1) :英語の読み書きの変遷

日本でも少しずつ「フォニックス」という言葉が聞かれるようになってきています。
しかし、正直なところ、フォニックスと言ってもいまいちよくわからないし、どんな効果があるのかよくわからないという人も多いのではないかと思います。

実は、フォニックスには「シンセティック・フォニックス synthetic phonics」と「アナリティック・フォニックス analytic phonics」と2種類あるのです。
現在、日本で普及しているフォニックスは、残念ながらイギリスやオーストラリアなど英語圏で新しく導入が始まっているシンセティック・フォニックスではなく、アナリティック・フォニックスのようです。
今日は簡単に英語圏での読み書きの教授法を説明します。

年代 教授法 特徴
~1970年前半 Look-and-Say
ルック アンド セイ
単語を覚える際に、何度も繰り返し見ては覚えていくという方法。暗記が得意な子どもには有効であるが、そうでない子どもには覚えられず、苦痛になってしまい、読み書きが苦手な子どもを作ってしまう。
現在でも、sight words といい、フォニックスのルールに沿っていない単語 (the, me, said など) は、この方法がとられている。
1970年~80年代 Whole-language
ホールラングエッジ
単語というのは、それ単独であるものではなく、文章の中に存在するものであるという点に着目し、文章の前後の内容で意味を予測したり、絵本などでは絵を見てその単語の意味を推測したりしながら、単語を読んでいく方法。
この場合、絵などがない場合は予想がつかない場合もあり、読み書きの基礎を作るものとはならない。
フォニックスについては、50年代にすでに主張され始めているが、一気に注目が始まったのは1980年代後半から90年代になるころ、子どもの読みの習熟度の低さが問題になったためである。
1980年代後半~ Analytic Phonics
アナリティック フォニックス
単語を最初の文字とそれに続く母音に分割していく方法。たとえば、man という単語から、milk, mother と m の音だけに注目して音と文字を教えていく。これをすべての文字にあてはめて行う。次に、単語の最後に来る文字と音の関係、そして真ん中の文字と音の関係・・というように指導していき、ようやく子音-母音-子音の単語を自分で読み書きできるようにしてく方法。
また、hat からは h を変えていき、mat, rat など韻を踏んでいく Onset-and-rime という方法もとられる。少し長いstreet という単語では、 str-eet に分割し、str-ong, str-aight と頭韻を踏んでいく。
時間がかかる・ある程度の単語を覚えていなければ始められないという点が問題。
1990年代後半~ Synthetic Phonics
シンセティック フォニックス
文字と音を一つずつ丁寧に教えていく方法。たとえば、上記 street という単語を読み書きするときには、s-t-r-ee-t と一つずつ文字と音を対応する (ee はダイグラフと言い、二つの文字で一つの音を作る。これについても指導をしていく)。
2000年にアメリカのNational Reading Panelでフォニックスの重要性を発表し、イギリスの教育省は2007年に Letters and Sounds というシンセティックフォニックスを指導するようプログラムを設定。

上記表では、便宜上年代に分けましたが、実際にはフォニックスという教授法は1957年にすでに出版されていますし、各年代でもそれぞれフォニックスに注目する人がいます。しかし、50年代では単語は見て覚えるものという Look-and-Say が主流だったため、このフォニックスを主張する人たちは反社会派と見られてしまい、全くといっていいほどフォニックスが浸透しなかったのです。

私が中学生のころは、とにかく単語は「暗記」させられ、ひたすら書いて覚えました。単語を読むときもとにかく綴りなど見ずに、単語全体の形で何と読むかを覚えていったものです。多分、今も変わらないかと思うのですが、実は、これが Look-and-say という方法なのです。英語圏では50年ほど前に主流だった方法です。この「英語=暗記」が嫌で仕方がなく、それで英語が嫌いになったという話もよく聞きます。

次回はシンセティック・フォニックスとアナリティック・フォニックスについてお話しようと思います。

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